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気候科学:2018〜2019年におけるCFC-11の全球排出量の減少

Nature 590, 7846 doi: 10.1038/s41586-021-03260-5

モントリオール議定書の下でオゾン層破壊物質の生産が段階的に廃止されて以来、トリクロロフルオロメタン(CFC-11)の大気中濃度は低下してきた。2013年以降、おそらく報告されていない生産に起因する排出量の増大によってCFC-11濃度の低下が予想外に鈍化しており、これが持続すれば成層圏オゾン層の回復が遅れると思われる。本論文では、世界各地の遠隔観測点での大気中濃度測定結果から得られた、2019年と2020年の全球平均CFC-11濃度の低下の加速について報告する。我々は、CFC-11の全球排出量が、2018〜2019年に年間18 ± 6ギガグラム(26 ± 9%;1標準偏差)減少して、2019年の値(年間52 ± 10ギガグラム)が2008〜 2012年の平均値とほぼ同じになったことを見いだした。全球排出量の減少は、報告されていないCFC-11の生産量が大きく減少したことを示唆している。CFC-11バンク(生産されたがまだ排出されていないCFC-11の量)は2020年初頭までに90~725ギガグラム増加したが、予想外の全球排出量と報告されていない生産量の急激な減少が持続すれば、関連する将来のオゾン層破壊は限定的になる可能性が高い。

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