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コロナウイルス:ニューヨーク市でのSARS-CoV-2の反復横断的血清モニタリング
Nature 590, 7844 doi: 10.1038/s41586-020-2912-6
2019年末に中国で初めて検出された重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)は、その後、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)を引き起こした。ニューヨーク市では、2020年3月1日にCOVID-19の最初の症例が公式に確認された後に、深刻なエピデミックが発生した。今回我々は、血清有病率の動態を理解するため、ニューヨーク市マウントサイナイ病院の患者に由来する1万例以上の血漿試料を用い、抗SARS-CoV-2スパイクタンパク質について、2020年2月初旬から7月初旬まで1週間間隔で、後ろ向きの反復横断的解析を行った。我々は、血清有病率の動態を、エピデミック中のCOVID-19症例を多く含む「救急医療」グループと、より一般的な集団をより密接に表す「一般医療」グループに分けて示す。血清有病率は両グループにおいて異なる割合で増加していた。陽性試料は2月中旬という早い時期に見つかり、エピデミックの波が落ち着いた5月下旬には、血清有病率は両グループで20%より少し高い水準で横ばいになった。5月から7月にかけては血清有病率は一定に保たれており、これは集団内の抗体レベルが維持されていたことを示唆している。我々のデータは、ニューヨーク市にSARS-CoV-2が持ち込まれたのは、これまで報告されていたよりも早い時期だったことを示唆するとともに、主要大都市圏におけるパンデミック第一波の全過程にわたるセロコンバージョンの動態を説明するものである。