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グローバルヘルス:低・中所得国における定期麻疹ワクチン接種を取り巻く現状

Nature 589, 7842 doi: 10.1038/s41586-020-03043-4

1974年以降、安全で効果の高い麻疹ワクチンの接種が世界的に推奨されてきたが、2017年の5歳未満の小児での麻疹の症例は1700万例以上、死者数は8万3400人に上り、いずれもその99%以上が低・中所得国(LMIC)で生じていた。定期の麻疹含有ワクチン1回(MCV1)接種率についての世界的に比較可能な地域的年間推定値は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によってワクチン接種プログラムの中断が引き起こされている中で、地理的に正確な麻疹の免疫パターン、世界ワクチン接種行動計画(GVAP;Global Vaccine Action Plan)の目標達成に向けた進捗状況、麻疹の高リスク地域を理解するために重要である。今回我々は、LMIC 101か国における2000~2019年の第2レベルの行政区画の5 × 5 km2ピクセルでの小児期の定期MCV1接種率の年間推定値を作成し、地理的不平等を定量化するとともに、地理的遠隔性によるワクチン接種の状況を評価した。その結果、MCV1接種率は、2000~2010年に広範囲で上昇した後、2010~2019年に区画の半数以上で低下し、多くのLMICは「2019年までに全ての地域で80%の接種率」というGVAPの目標からはほど遠い状況にあることが分かった。ワクチン未接種の小児の大部分は概して都市部に居住していたが、MCV1接種率は都市部よりも農村部で低かった。従って、不可欠なワクチン接種サービスを提供するための戦略は、これら両方の地理的状況に対処すべきである。今回の結果は、政策立案者が定期MCV1予防接種プログラムを強化して、全ての小児に公平な疾患予防を提供するためのツールとなる。

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