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ゲノミクス:複数のコムギゲノムが現代の育種における世界的な多様性を明らかにする

Nature 588, 7837 doi: 10.1038/s41586-020-2961-x

ゲノミクスの進歩により、いくつかの農業上重要な作物の品種改良が促進されてきたが、コムギ(Triticum spp.)における同様の取り組みはより挑戦的である。これは主に、コムギゲノムのサイズが大きくて複雑であることに加え、複数系統のゲノムのアセンブリデータが得られていないためである。今回我々は、六倍体コムギで、10の参照品質の染色体pseudomoleculeアセンブリ(仮想的に染色体に収束した参照品質の塩基配列アセンブリ;RQA)と5つのスキャフォールドレベルのアセンブリを作成し、世界の育種プログラムから選ばれたコムギ系統間のゲノムの多様性を調べた。比較解析から、多様な環境への適応、穀粒の収量や品質、各種ストレスへの抵抗性の改良を目的とした複雑な品種改良の歴史に起因する、広範なゲノム構造の再編成、近縁野生種からの遺伝子移入、含まれる遺伝子の差異が明らかになった。我々は、病害抵抗性に関連するNLRタンパク質(ヌクレオチド結合ドメインとロイシンリッチリピートを持つ)の複数ゲノムに由来する詳細なレパートリーや、害虫抵抗性に関連する遺伝子Sm1の特性解析など、これらのゲノムの有用性を概説する例を示す。これらのゲノムアセンブリは、機能的な遺伝子の発見と育種の基盤になり、次世代の近代的なコムギ品種を生み出すと考えられる。

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