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環境科学:海洋からの食料の未来

Nature 588, 7836 doi: 10.1038/s41586-020-2616-y

増加し続ける世界の食料需要は、食料供給を持続的に増加していけるのかどうかを切実に問い続けている。陸上からの食料供給拡大は可能だが、それは気候変動や生物多様性喪失を深刻化させ、さらに他の生態系サービスの供給を阻害する恐れがある。海洋からの食料が食用の肉類生産の17%にすぎない現状の下、本研究で我々は、2050年までに海洋にどれだけの食料を持続可能な生産として期待できるのか検討を行った。我々は、海洋の主要な食料生産部門である、天然漁獲漁業、魚類の海洋養殖および二枚貝類の海洋養殖を対象に、生態系、経済、制度的規制および技術の制約条件を考慮した「持続可能供給曲線」を推定した。また、得られた持続可能供給曲線に需要シナリオを重ねることにより、将来の海洋食料生産量を推定した。その結果、我々が推定した、政策改革および技術革新を前提とする需要変化・供給シナリオによって、海洋からの食料は2050年までに、現在の生産量の36~74%増に相当する2100~4400万トンの増加が可能であることが明らかになった。これは、2050年までに98億人に達する世界人口に必要となる全肉類の推定増加量の12~25%に相当する。海洋からの全ての食料生産部門で増産が見込まれる中、特に海洋養殖増産の大きな可能性が推定された。こうした海洋からの潜在的食料生産が持続可能な形で実現されるかどうかは、政策改革や技術革新、将来の需要変化などの要因に左右されるだろう。

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