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遺伝子治療:アンジェルマン症候群に対するCas9遺伝子治療はUbe3a-ATS長鎖ノンコーディングRNAを捕捉する

Nature 587, 7833 doi: 10.1038/s41586-020-2835-2

アンジェルマン症候群(AS)は、母系遺伝したUBE3A対立遺伝子の変異や欠失により引き起こされる重度の神経発達障害である。ニューロンでは、父系遺伝したUBE3A対立遺伝子は、UBE3A-ATSと呼ばれる長鎖ノンコーディングRNAによってシスに抑制される。今回我々は、体系的なスクリーニングの一環として、マウスやヒトの培養ニューロンにおいてSnord115遺伝子群(Ube3a-ATSの3′領域にクラスター化された核小体RNA)を標的とした場合に、Cas9が父系Ube3aの活性化(「抑制解除」)に使用できることを見いだした。我々は、約75個のSnord115遺伝子を標的とする短いCas9バリアントとガイドRNAをアデノ随伴ウイルスにパッケージングし、ASマウスモデルに対して、Ube3aを回復させる治療効果が最大になると予測される胚期および出生後初期に投与した。この早期治療は、ASマウスにおいて、少なくとも17か月間にわたって脳全体で父系Ube3aの抑制を解除し、解剖学的表現型および行動学的表現型を救済した。Cas9標的部位へのアデノ随伴ウイルスベクターのゲノム挿入は、ベクター由来のポリAカセットにおいてUbe3a-ATSの未熟な終結を引き起こし、逆方向に挿入された場合は、ベクター由来のCas9転写産物との転写衝突によって未熟終結を引き起こした。我々の研究は、遺伝子治療用ベクターの標的化ゲノム挿入が、父系遺伝したUBE3Aの機能を生涯にわたり回復できることを明らかにしており、これによって症候性神経発達障害の疾患修飾治療に向けた道筋がもたらされた。

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