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免疫学:COVID-19ワクチンBNT162b1はヒト抗体応答とTH1 T細胞応答を誘導する

Nature 586, 7830 doi: 10.1038/s41586-020-2814-7

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のパンデミック(世界的大流行)の拡散を抑止するために、効果的なワクチンが必要とされている。最近我々は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンとして、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)をコードするヌクレオシド修飾mRNAを脂質ナノ粒子で製剤化したBNT162b1について、進行中のプラセボ対照評価者盲検第I/II相試験から、安全性や忍容性、抗体応答のデータを報告した。今回我々は、18〜55歳の健康な成人における2回目の非無作為化非盲検第I/II相試験から、BNT162b1接種後の抗体やT細胞の応答について示す。1〜50 μgのBNT162b1を2回接種すると、ロバストなCD4+とCD8+ T細胞応答と強力な抗体応答が誘導され、RBD結合IgG濃度は、COVID-19から回復したコホート由来の血清で見られる濃度よりも明らかに高かった。43日目のSARS-CoV-2血清中和抗体の幾何平均力価は、回復者に比べて0.7倍(1 μg用量)から3.5倍(50 μg用量)だった。免疫血清により、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質のさまざまなバリアントを有するシュードウイルスが広く中和された。多くの参加者では1型ヘルパー T(TH1)細胞へ偏ったT細胞免疫応答が見られ、RBD特異的なCD8+とCD4+ T細胞が増殖していた。また、インターフェロンγが、RBD特異的なCD8+とCD4+ T細胞の大部分から産生されていた。BNT162b1 mRNAワクチンによって誘導されるロバストなRBD特異的抗体応答やT細胞応答、好ましいサイトカイン応答は、複数の有益な機構を介してCOVID-19を予防する可能性があることを示唆している。

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