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公衆衛生:ヨーロッパにおけるCOVID-19に対する非医薬品介入の効果の評価

Nature 584, 7820 doi: 10.1038/s41586-020-2405-7

新型コロナウイルスである重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)が検出され、これが中国国外へ拡散した後、ヨーロッパでは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大規模なエピデミックが起こっている。これを受けて、多くのヨーロッパ諸国が、学校閉鎖や国レベルのロックダウン(封鎖)などの非医薬品介入を実施してきた。本研究では、COVID-19のエピデミックが始まった2020年2月から、ロックダウンの解除が始まった2020年5月4日までの期間の、ヨーロッパ11か国における主要な介入の効果を調べた。我々のモデルは、観察された死亡数から、数週間前に起こった伝播を後ろ向きに推定し、感染と死亡の間の時間差を考慮している。我々は、実効再生産数(Rt)に対する個別および共通の効果と共に、国家間の情報の部分的なプール化を行った。こうしたプール化によって、より多くの情報を使用できるようになり、データの特異性を克服する助けとなり、より時宜にかなった推定が可能になる。我々のモデルは、いくつかの疫学的パラメーター(感染死亡率など)の固定された推定値に依存しており、輸入あるいは地方変動を含んでおらず、Rtの変化は、行動の緩やかな変化ではなく介入に対する即時的な応答であると仮定している。パンデミック(世界的大流行)が進行する中で、我々は、不完全で、報告に体系的な偏りがあり、将来的に統合の対象となるデータに依存している。今回検討した全ての国において、現在の介入は、Rtを1未満に抑え(Rt < 1.0の確率は99%以上)、エピデミックの制御を達成するのに十分であると推定される。11か国全てを合わせると、2020年5月4日までに、人口の3.2~4.0%に相当する1200〜1500万人がSARS-CoV-2に感染したと推定される。我々の結果は、主要な非医薬品介入(特にロックダウン)は、伝播の低減に大きな効果を上げていることを示している。SARS-CoV-2の伝播を制御し続けるには、継続的な介入が考慮されるべきである。

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