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コロナウイルス:ヒト中和抗体はSARS-CoV-2の受容体結合部位を標的とする

Nature 584, 7819 doi: 10.1038/s41586-020-2381-y

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)によって引き起こされる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のアウトブレイク(集団発生)が世界中に広がっており、治療やウイルスのさらなる伝播を防ぐための対策が必要とされている。今回我々は、COVID-19から回復中の1人の患者から、2つの特異的なヒトモノクローナル抗体(CA1およびCB6と命名)を単離したことを報告する。CA1とCB6は、in vitroにおいて強力なSARS-CoV-2特異的中和活性を示した。さらにCB6は、アカゲザルにおいて、予防および治療の両面でSARS-CoV-2感染症を抑制した。また構造解析からは、CB6がSARS-CoV-2受容体結合ドメインにおけるアンギオテンシン変換酵素2(ACE2)結合ドメインと重複するエピトープを認識し、立体構造上の障害と接触面のアミノ酸残基との直接競合の両方によって、ウイルスと受容体の相互作用を阻害することが明らかになった。今回の結果は、CB6が臨床へのトランスレーションのための候補としてさらなる研究に値するものであることを示唆している。

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