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腫瘍遺伝学:2658例のがん全ゲノムにおける非コード領域の体細胞ドライバーの解析

Nature 578, 7793 doi: 10.1038/s41586-020-1965-x

がんのドライバー変異を発見する試みでは従来、タンパク質をコードする遺伝子に重点が置かれてきた。今回我々は、国際がんゲノムコンソーシアム(ICGC;International Cancer Genome Consortium)およびがんゲノムアトラス(TCGA;The Cancer Genome Atlas)によるがん種横断的全ゲノム解析(PCAWG;Pan-Cancer Analysis of Whole Genomes)コンソーシアムの2658例のゲノムについて、非コード領域内のドライバーとなる点変異と構造バリアントの解析について報告する。点変異については、ドライバーを発見する複数の手法からの有意性を組み合わせる統計的に厳密な総合的方法を開発し、個々の手法の限界を打開した。構造バリアントについては、ドライバーを発見する2種類の手法を提案し、頻発する切断点や体細胞性近接化により有意に影響を受ける領域を特定した。今回の解析では、以前報告されたドライバーについて、一部を確認できたとともに、別の一部に関しては疑問を呈し、さらに新規の候補を発見した。これらの候補には、TP53の5′領域の点突然変異、NFKBIZTOB1の3′非翻訳領域の点突然変異、BRD4の局所的欠失、AKR1C遺伝子群座位内の再編成が含まれる。タンパク質をコードする遺伝子に比べると、非コード遺伝子や調節配列では、がんを促進する点突然変異や構造バリアントの頻度は低いことが分かったが、利用可能ながんゲノムがより増えれば、こうしたドライバーの例がさらに見つかるだろう。

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