Article

腫瘍遺伝学:ヒトがんゲノムにおける体細胞性の構造多様性のパターン

Nature 578, 7793 doi: 10.1038/s41586-019-1913-9

がんにおける重要な変異過程は構造の多様化であり、このゲノム再編成により、キロ塩基から染色体全体に及ぶサイズのゲノム断片が欠失、増幅、あるいは並べ替えられる。今回我々は、国際がんゲノムコンソーシアム(ICGC;International Cancer Genome Consortium)およびがんゲノムアトラス(TCGA;The Cancer Genome Atlas)のがん種横断的全ゲノム解析(PCAWG;Pan-Cancer Analysis of Whole Genomes)のデータを用いて、体細胞性の構造バリアントをグループ化、分類、特徴を明らかにする方法を開発した。このデータには38種類のがんの2658例のがんの全ゲノム塩基配列解読データが集められている。構造多様性の16のシグネチャーが見つかった。欠失は、サイズが多峰性分布を示し、腫瘍の種類や患者によって分類され、後期に複製される染色体領域で高い頻度で起こり、逆位と相関した。縦列重複もサイズが多峰性分布を示すが、不均衡型転座と同様に、初期に複製される染色体領域で高い頻度で起きていた。複製を基盤とする再編成機構により、低レベルでのコピー数増加や高頻度の逆位再編成を伴う、さまざまな染色体構造が生じる。1つの顕著な構造パターンは、ゲノムの異なる領域からコピーされた2〜7の鋳型が1座位内でつながれる構成である。このような「サイクル型」鋳型挿入は重複と相関しており、また、肝臓がんではテロメラーゼ遺伝子TERTを活性化することが多い。がんではさまざまな再編成過程が機能していて、これによって選択が作用できる場合にゲノムの複雑な立体配置の再構成が生じる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度