Article

社会科学:低所得国および中所得国における小児の成長障害のマッピング

Nature 577, 7789 doi: 10.1038/s41586-019-1878-8

小児期の栄養不良は、世界的に高い罹病率および高い死亡率と関連付けられている。栄養不良の小児には、認知的、身体的、代謝的な発達障害が見られる可能性が高く、これらの障害はその後、心血管疾患、低い知的能力や就学達成度、成人期の低い経済的生産性につながる場合がある。小児の成長障害(CGF)は、5歳未満(0~59か月)の小児において発育阻害、消耗症、低体重として表れる、身長や体重が年齢ごとの標準的基準に満たないことを特徴とする栄養不良の特定部分集合である。5歳未満の小児の発育阻害、消耗症、低体重の蔓延率は、それぞれ身長年齢比、体重身長比、体重年齢比のzスコアが、世界保健機関(WHO)が設定している健康な集団の標準的基準の中央値よりも2標準偏差以上低い小児の割合で表される。行政区レベルのCGFの推計では国内の著しい不均一性が報告されているが、こうした推計データは主に最も大きな行政レベル(州や省など)でのみ利用可能で、こうしたCGFの不均一な地理的分布のために、多くの公衆衛生プログラムの地域的規模に合致するような評価の必要性が一層高まっている。今回我々は、アフリカにおけるCGFのマッピングという我々の以前の研究を基盤として、2000~2017年のCGF指標の推定値を、影響を受けている小児の実に99%が居住している105の低所得国および中所得国(LMIC)にわたり、我々の知る限り初めての高い空間分解能でマッピングした[政策に関連する最大の行政レベルと次に大きな行政レベル(区や郡など)の単位ならびに国レベルで集計]。その結果、調査期間中に顕著な低下が認められたものの、多くのLMICの状況は「2025年までに発育阻害を40%減少させて消耗症を5%未満に抑制する」というWHOの野心的な国際栄養目標からは程遠かった。各国間および各国内ではCGFの蔓延率と進捗状況に大きな格差が見られ、我々の地図からは、国全体のCGF蔓延率が低下し成功を収めている国の中にもCGF蔓延率の高い地域が見いだされた。こうした地理空間的推計は、最も対策が必要な集団が居住する地域を明らかにすることで、政策立案者による地域に即した介入の計画や、CGFとその健康被害の低下に向けた効率的な資源の割り当てに役立つ可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度