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代謝:褐色脂肪組織はSLC25A44を介してBCAAを代謝分解することによりエネルギー恒常性を制御する

Nature 572, 7771 doi: 10.1038/s41586-019-1503-x

分岐鎖アミノ酸(BCAA;バリン、ロイシン、イソロイシン)を補給すると、エネルギー代謝が亢進することが多い。しかしながら、肥満や糖尿病の状態では、血中BCAAの濃度は高いことが知られており、この一見して矛盾する現象の理由は明らかにされていない。今回我々は、マウスとヒトを用いた研究で、褐色脂肪組織(BAT)が血中BCAAの代謝クリアランスを促す機構を明らかにした。寒冷刺激により活性化されたBATでは、BCAAがミトコンドリアで分解されて熱産生を誘導する。一方、BAT特異的にBCAAの代謝分解に欠陥があるマウスでは、血中BCAAの代謝クリアランス、BATが加速する酸化および熱産生が低下し、食餌誘導性の肥満およびグルコース不耐性が惹起された。機構的には、このBATにおける活発なBCAA代謝には、ミトコンドリアのBCAA輸送体であるSLC25A44が必要であることが明らかとなった。以上の結果から、BATはSLC25A44を介して血中BCAAの代謝クリアランスを亢進する代謝フィルターとして働き、エネルギー代謝の恒常性に寄与することが示唆された。

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