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微生物学:炎症性腸疾患における腸内微生物生態系のマルチオミクス

Nature 569, 7758 doi: 10.1038/s41586-019-1237-9

クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患の患者数は、世界で数百万人に上る。クローン病および潰瘍性大腸炎は、臨床、免疫、分子、遺伝子、そして微生物の全てのレベルで不均一な複雑疾患であり、大規模研究ではそれらに寄与する個々の要因が焦点となってきた。我々は、統合ヒトマイクロバイオームプロジェクト(HMP2あるいはiHMP)の一環として、クローン病患者、潰瘍性大腸炎患者、対照群の計132名を1年間追跡し、疾患罹患中の宿主と微生物の活動についての経時的な統合分子プロファイルを作成した(1人につき最高24時点;糞便、生検、血液で計2965の試料を採集)。本論文では、得られたプロファイルの結果を提示し、炎症性腸疾患の活動期における腸内マイクロバイオームの機能的なディスバイオーシスについて包括的な見解を示す。絶対嫌気性細菌の減少を伴う通性嫌気性細菌の特徴的な増加の他、微生物の転写(例えばクロストリジウム類で)、代謝物のプール(アシルカルニチン、胆汁酸、短鎖脂肪酸)、そして宿主血清中の抗体レベルが分子的に撹乱されていることが明らかになった。疾患活動期はまた、時間変動の増大を特徴とし、分類学的、機能的、生化学的な変化を伴っていた。さらに、統合的な解析からは、この調節異常の中核にある微生物的要因、生化学的要因、宿主的要因が明らかになった。本研究の基盤の情報資源、結果、データは、「炎症性腸疾患マルチオミクスデータベース(https://ibdmdb.org)」から利用可能であり、炎症性腸疾患における宿主と微生物の活動に関するこれまでで最も包括的な説明を提供している。

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