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微生物学:前糖尿病における宿主–微生物ダイナミクスの長期的マルチオミクス

Nature 569, 7758 doi: 10.1038/s41586-019-1236-x

2型糖尿病(T2D)は深刻化しつつある健康問題だが、その初期段階、生物学的過程に及ぼす影響、臨床的T2Dへの移行についてはほとんど分かっていない。T2Dの最初期の段階をよりよく理解するため、我々は、健康な人と前糖尿病患者の計106人を対象に約4年間にわたって試料を採集し、トランスクリプトーム、メタボローム、サイトカイン、プロテオーム、そしてマイクロバイオームの変化について、詳細なプロファイリングを行った。この豊富な長期的データセットからは、多くの知見が得られた。第一に、健康なプロファイルは個体間で異なる一方、個体内や個体間での違いは多様なパターンを示した。第二に、呼吸器のウイルス感染や免疫感作において宿主と微生物に広範な変化が生じ、免疫感作では防御となり得る応答が引き起こされることが明らかになった。この応答は、呼吸器ウイルス感染に対する応答とは異なる。また、呼吸器ウイルス感染の際には、インスリン抵抗性の被験者はインスリン感受性の被験者とは異なる応答を示した。第三に、数千に及ぶプロファイリングされた分子における全体的な共関連解析からは、インスリン抵抗性の被験者とインスリン感受性の被験者との間で異なる宿主–微生物相互作用が複数明らかになった。さらに、ある1人の被験者では、T2D発症に先立つ個体特異的な一連の初期分子シグネチャーが特定された。これらの分子シグネチャーには、炎症マーカーであるインターロイキン1受容体アゴニスト(IL-1RA)や高感度C反応性タンパク質(CRP)が含まれ、これらは生体異物によって誘導される免疫シグナル伝達と共に見られた。我々の研究は、健康と疾患において、グルコース調節異常の人と健康な人との間で違いが見られる経路や応答についての手掛かりを明らかにするとともに、健康状態、前糖尿病状態、T2D状態についてのさらなる研究を可能にする、オープンアクセスのデータ情報資源を提供するものである。

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