Volume 565 Number 7741

Editorials

150周年を迎えるメンデレーエフの周期表は、化学の過去だけでなく未来、さらには一般社会にまでつながっている。

Anniversary celebrations are due for Mendeleev’s periodic table p.535

doi: 10.1038/d41586-019-00281-z

日本は、先駆け審査指定制度にブレーキをかけるべきだ。

Japan should put the brakes on stem-cell sales p.535

doi: 10.1038/d41586-019-00332-5

出生前診断が進歩するにつれ、カウンセリングの重要性がますます高まっている。

Prospective parents should be prepared for a surge in genetic data p.536

doi: 10.1038/d41586-019-00331-6

News

ガラパゴス諸島で、生態系を脅かす侵入種のラットの駆除にドローンを利用した毒餌散布が。

Drones unleashed against invasive rats in the Galapagos p.543

doi: 10.1038/d41586-019-00176-z

日本で脊髄損傷治療に用いる幹細胞が承認されたが、時期尚早と懸念する声も。

Japan’s approval of stem-cell treatment for spinal-cord injury concerns scientists p.544

doi: 10.1038/d41586-019-00178-x

米国の政府機関の閉鎖はひとまず解除されたが、混乱は続いている上、さらなる閉鎖の危機も。

Scientists relieved but wary as US shutdown ends p.545

doi: 10.1038/d41586-019-00304-9

コソボとセルビアの紛争解決策として検討されている領土交換は、教育・科学分野で進められてきた民族間協力の先行きを不透明にする恐れが。

Kosovo academics brace for controversial ethnic land swaps p.546

doi: 10.1038/d41586-019-00293-9

英国のEU離脱は、アイルランドと北アイルランドの科学研究にも混乱を。

How Brexit threatens Irish science’s cross-border collaboration p.547

doi: 10.1038/d41586-019-00339-y

エチオピアで、貴重な生物多様性のオアシスである教会周囲の森を守ろうと、2人の森林生態学者が協力して保護活動を。

Ethiopia’s church forests are a last refuge for dwindling biodiversity p.548

doi: 10.1038/d41586-019-00275-x

News Features

周期表を超えて

Beyond the periodic table p.551

元素をその特徴に基づいて並べた周期表をメンデレーエフが発表してから150年という節目に当たり、この不朽の名作が科学に及ぼし続ける大きな影響を探索する。

doi: 10.1038/d41586-019-00284-w

周期表の最前線

On the edge of the periodic table p.552

新たな超重元素を作り出そうとする研究から、周期表はどこまで広がり得るのか、という疑問が生まれている。

doi: 10.1038/d41586-019-00285-9

News & Views

回顧:最初の人工元素

The first synthetic element p.570

1869年にメンデレーエフが周期表を提案したとき、43番元素(テクネチウム)はまだ確認されていなかった。1937年に、この元素は実験室での合成によって発見された最初の元素となり、原子の時代への道が開かれたのである。

doi: 10.1038/d41586-019-00236-4

古人類学:デニソワ洞窟で発見されたヒト族の年代測定

Dating of hominin discoveries at Denisova p.571

デニソワ洞窟は少なくとも20万年前からヒト族の住居となっており、その発掘によってアジアの初期ヒト族の理解に光が当てられている。今回、新たな年代解析によって、この知識がさらに正確になった。

doi: 10.1038/d41586-019-00264-0

免疫療法:がんや感染と闘う腸の力

A gut punch fights cancer and infection p.573

ヒトの腸の微生物は、免疫系の細胞に影響を及ぼすことがある。今回、腸の一連の細菌株が、殺細胞能を持ち、がんを標的にできて、感染を防御する免疫細胞を増強することが見いだされた。

doi: 10.1038/d41586-019-00133-w

大気化学:再評価されたエアロゾル形成の仮説

Atmospheric reaction networks affecting climate are more complex than was thought p.574

今回、植物が放出する物質から生成される大気粒子の量が、これまで考えられていたより少ない可能性が実験的に示され、大気質や気候に影響を及ぼす過程の理解に疑問が投げ掛けられている。

doi: 10.1038/d41586-019-00263-1

宿主–微生物相互作用:植物はkiwellinタンパク質を用いて菌類と闘う

Plants fight fungi using kiwellin proteins p.575

菌類の感染は、作物の収量に影響を及ぼす可能性がある。今回、菌類によって生じた宿主の代謝障害に植物タンパク質が対抗することが分かり、抗真菌防御と代謝酵素阻害機構に光が当てられた。

doi: 10.1038/d41586-019-00092-2

プラズマ物理学:統計モデルによって向上した核融合性能

Experimentally trained statistical models boost nuclear-fusion performance p.577

慣性閉じ込め核融合と呼ばれる技術に関する研究は、室内実験における核融合性能の向上を目指している。今回、巧妙な統計的方法によってこの技術が改善された。

doi: 10.1038/d41586-019-00261-3

分子生物学:イントロンのRNA塩基配列が細胞の生存を促進する

Intron RNA sequences help yeast cells to survive starvation p.578

イントロンの塩基配列は、新たに合成されたRNAから除去され、通常は迅速に分解される。しかしイントロンには、栄養が欠乏しているときに酵母細胞の生存を助けるという意外な役割があるらしいことが、今回分かった。

doi: 10.1038/d41586-019-00088-y

Articles

プラズマ物理学:統計モデリングを通して3倍になった直接駆動レーザー核融合の収率

Tripled yield in direct-drive laser fusion through statistical modelling p.581

doi: 10.1038/s41586-019-0877-0

大気化学:大気中の蒸気の混合によって減少する二次有機エアロゾル

Secondary organic aerosol reduced by mixture of atmospheric vapours p.587

doi: 10.1038/s41586-018-0871-y

古人類学:シベリア南部のデニソワ洞窟における古代ヒト族の居住の時期

Timing of archaic hominin occupation of Denisova Cave in southern Siberia p.594

doi: 10.1038/s41586-018-0843-2

免疫療法:CD8 T細胞および抗がん免疫を誘導する特定の共生細菌コンソーシアム

A defined commensal consortium elicits CD8 T cells and anti-cancer immunity p.600

doi: 10.1038/s41586-019-0878-z

分子生物学:切り出された直鎖状イントロンが酵母の増殖を調節する

Excised linear introns regulate growth in yeast p.606

doi: 10.1038/s41586-018-0828-1

分子生物学:イントロンは飢餓に対する細胞応答のメディエーターである

Introns are mediators of cell response to starvation p.612

doi: 10.1038/s41586-018-0859-7

Letters

天文学:大質量星オリオン座θ1 C星からの恒星風によるオリオン座分子雲コア1の分裂

Disruption of the Orion molecular core 1 by wind from the massive star θ1 Orionis C p.618

doi: 10.1038/s41586-018-0844-1

物性物理学:三次元フォトニックトポロジカル絶縁体の実現

Realization of a three-dimensional photonic topological insulator p.622

doi: 10.1038/s41586-018-0829-0

材料科学:非共線反強磁性体における磁気スピンホール効果と磁気逆スピンホール効果

Magnetic and magnetic inverse spin Hall effects in a non-collinear antiferromagnet p.627

doi: 10.1038/s41586-018-0853-0

化学:白金表面に原子レベルで分散させて固定した水酸化鉄による水素燃料中の一酸化炭素の選択酸化

Atomically dispersed iron hydroxide anchored on Pt for preferential oxidation of CO in H2 p.631

doi: 10.1038/s41586-018-0869-5

生態学:対照的な過程によって生じる、浅海底から深海底にわたるクモヒトデ類の系統的多様性

Contrasting processes drive ophiuroid phylodiversity across shallow and deep seafloors p.636

doi: 10.1038/s41586-019-0886-z

古人類学:デニソワ洞窟におけるヒト族化石および後期旧石器時代の始まりの年代推定

Age estimates for hominin fossils and the onset of the Upper Palaeolithic at Denisova Cave p.640

doi: 10.1038/s41586-018-0870-z

神経科学:社会行動と摂食行動で相互作用する眼窩前頭皮質の神経集団

Interacting neural ensembles in orbitofrontal cortex for social and feeding behavior p.645

doi: 10.1038/s41586-018-0866-8

宿主–微生物相互作用:kiwellinは菌類の分泌型病原性因子の代謝活性を軽減させる

A kiwellin disarms the metabolic activity of a secreted fungal virulence factor p.650

doi: 10.1038/s41586-018-0857-9

がん:脳脊髄液の液体生検によるグリオーマの腫瘍進化の追跡

Tracking tumour evolution in glioma through liquid biopsies of cerebrospinal fluid p.654

doi: 10.1038/s41586-019-0882-3

細胞生物学:分裂クライシスの際のオートファジーを伴う細胞死は染色体不安定性を制限する

Autophagic cell death restricts chromosomal instability during replicative crisis p.659

doi: 10.1038/s41586-019-0885-0

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