Letter

文化進化学:ボルネオ島の旧石器時代の洞窟芸術

Nature 564, 7735 doi: 10.1038/s41586-018-0679-9

インドネシア・スラウェシ島で発見された具象的な洞窟絵画は年代が少なくとも3万5000年前のもので、同地域で発見された手形のステンシル画の年代は最低でも4万年前とされている。今回我々は、類似の岩絵が、隣接するボルネオ島でもほぼ同じ時期に描かれていたことを明らかにする。インドネシア・ボルネオ島の東カリマンタンにある鍾乳洞ルバン・ジェリジ・サレー(Lubang Jeriji Saléh)の、動物を描いた大きな赤橙色の具象的絵画を覆っていた炭酸カルシウム堆積物のウラン系列年代測定から、その年代が最低でも4万年前と推定された。これは現在のところ、我々の知る限り、具象的芸術の年代としては世界最古のものである。さらに、同じ遺跡で発見された2つの赤橙色の手形ステンシルはいずれもウラン系列年代が最低3万7200年前と推定され、同色の3つ目の手形ステンシルについては最高5万1800年前という年代が得られた。また、ルバン・ジェリジ・サレーと、東カリマンタンにある他の3つのカルスト洞窟群で発見された洞窟芸術モチーフについてもウラン系列年代測定を行うことで、この地域の更新世の岩絵制作における特徴的な初期段階についての時系列が絞り込まれた。一方、一部が複雑なモチーフで装飾されている暗紫色の手形ステンシルは年代が約2万1000~2万年前と推定され、同じく暗紫色の、人類の姿を描いた珍しい絵画は、年代が最低1万3600年前と推定された。我々の知見は、ボルネオ島東部では5万2000~4万年前に洞窟絵画が出現し、最終氷期極大期の間に新たな壁画様式が生まれたことを示している。これにより、更新世の洞窟芸術の主要な領分が、ユーラシア大陸の東端部および隣接するウォーレシアにおいて、少なくとも4万年前から最終氷期極大期まで存在していたことが明らかになり、これは、初期の岩絵の伝統がどのように出現して発展を遂げ、後に更新世の東南アジアやより広範な地域へとどのように広がったのかを理解する上で重要になってくる。

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