Letter

免疫学:エフェロサイトーシスは新規のSLCプログラムを誘導して、グルコースの取り込みと乳酸の放出を促進する

Nature 563, 7733 doi: 10.1038/s41586-018-0735-5

発生や日常的な組織恒常性には、アポトーシスを起こした細胞の迅速な代謝回転が必要である。これらのアポトーシス細胞は、プロフェッショナル食細胞とノンプロフェッショナル食細胞によるエフェロサイトーシスを介して除去される。食細胞は、死細胞の取り込み、取り込んだ物質の処理、抗炎症性メディエーターの分泌を協調的に行いながら自己の恒常性を維持するが、その仕組みは完全には解明されていない。今回我々はRNA塩基配列解読を行うことで、アポトーシス細胞を活発に貪食している食細胞の転写プログラムの特性を調べ、溶質輸送体(SLC)ファミリーに属する33の膜輸送体タンパク質が関わる遺伝的シグネチャーを特定した。これらの遺伝子の発現は、エフェロサイトーシスの際には特異的に変化するが、抗体を介したファゴサイトーシスの際には変化しなかった。エフェロサイトーシスを行う食細胞において、これらSLCの機能的意義を評価したところ、SLC2A1を介したグルコースの取り込みに始まる好気的解糖プログラムがロバストに誘導され、同時に酸化的リン酸化プログラムが抑制されるのが分かった。ファゴサイトーシスのさまざまな段階、すなわちアポトーシス細胞が放出する「find-me(私を見つけて)」シグナルや検知因子の感知である「嗅ぎつけ(smell)」、食細胞とアポトーシス細胞の接触である「味見(taste)」、死細胞の取り込みである「飲み込み(ingestion)」では、いくつかのSLC遺伝子を含む、異なるが重複した遺伝子群が活性化され、解糖が促進された。死細胞の取り込み後にはSLC16A1の発現が亢進し、好気的解糖の天然副産物である乳酸の放出が増加した。食細胞内での解糖は、アクチンの重合と継続的な死細胞取り込みに役立つのに対して、SLC16A1を介した乳酸の放出は、抗炎症性の組織環境の整備を促進した。これらのデータを総合すると、エフェロサイトーシスの際に活性化されるSLCプログラム、アポトーシス細胞の取り込みにおける好気的解糖に対するこれまで知られていなかった依存性、エフェロサイトーシスによる解糖の副産物が周囲の細胞に影響を及ぼす可能性が明らかになった。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度