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微生物学:ゲノム構成とDNA接近性がトリパノソーマにおける抗原変異を制御する

Nature 563, 7729 doi: 10.1038/s41586-018-0619-8

進化的距離の離れた多くの病原性生物は、宿主の免疫応答を回避するために類似した生存戦略を進化させてきた。このような戦略の1つに抗原変異があり、これを介して、感染している生物は宿主の免疫系に認識されるタンパク質のアイデンティティーを周期的に変化させ、除去されるのを防いでいる。抗原変異には、免疫学的に多様な抗原遺伝子(多くの場合、相同組換えを介して作り出される)を大規模に保有しておくことに加え、常に1つあるいはごく少数の抗原を確実に発現する機構が必要である。相同組換えと遺伝子発現は、どちらも三次元ゲノム構造と局所的なDNA接近性の影響を受ける。我々が知る限り、三次元ゲノム構造、局所的なクロマチンコンホメーション、抗原変異を結び付ける因子は、どの生物においてもいまだ特定されていない。抗原変異におけるゲノム構造の役割の研究の主要な障害の1つは、抗原遺伝子の存在する領域は非常に反復性が高くヘテロ接合性であることで、このため、多くの病原体で完全なゲノムアセンブリができないでいた。今回我々は、ロングリード塩基配列解読技術と染色体の折りたたみの保存された特徴を用いて、モデル寄生性原虫のブルース・トリパノソーマ(Trypanosoma brucei)の長い抗原遺伝子領域のde novoのハプロタイプ特異的なアセンブリと足場形成について報告する。ゲノム規模のHi-C(chromosome conformation capture)法から、このゲノムの独特な分割構造が明らかになり、抗原をコードするサブテロメア領域は、別個の非常にコンパクトな区画に折りたたまれることが分かった。さらに、Hi-C法、蛍光in situハイブリダイゼーション法、ATAC–seq(assays for transposase-accessible chromatin using sequencing)法、単一細胞RNA塩基配列解読法など、さまざまな解析を行うことで、ヒストンバリアントのH3.VやH4.Vの欠失が、相同組換えを介して、抗原遺伝子のクラスタリング、抗原発現部位のDNA接近性、発現する抗原アイソフォームの切り替えを上昇させることが分かった。我々の解析から、ヒストンバリアントが全体的なゲノム構造、局所的なクロマチンコンホメーション、抗原変異を結び付ける分子であることが明らかになった。

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