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化学:ハイレート型リチウムイオンエネルギー貯蔵向けのニオブ・タングステン酸化物

Nature 559, 7715 doi: 10.1038/s41586-018-0347-0

リチウムイオン電池の最高出力と最短充電時間は、イオン輸送と電子輸送の両者に依存している。一般的に電池の充放電レートは、電気化学的に活性な粒子内におけるイオン拡散によって根本的に制限されている。固体中のイオン拡散の相対的な遅さを補償し、高出力と高速充電を可能にするために、活性粒子をナノメートルサイズまで微細化することが多いが、体積充填密度、安定性、持続可能性が損なわれ、コストがかかる。今回我々は、ナノスケール化の代わりとして、結晶学的せん断構造をとるNb16W5O55とブロンズ型構造をとるNb18W16O93という2種類のニオブ・タングステン複合酸化物が、マイクロメートルオーダーの粒子サイズであっても大量のリチウムを高レート(ハイレート)でインターカレートできることを示す。両方の構造体のリチウムイオン拡散係数を測定したところ、例えばLi4Ti5O12やLiMn2O4といった一般的な電極材料と比較して、室温での値が数桁高いことが明らかになった。多電子酸化還元、体積膨張の緩和、トポロジカルフラストレーションを持つニオブ/タングステン多面体配置、固体中の高速リチウム輸送が、極めて高い体積容量とレート性能につながった。数分でマイクロメートルサイズの粒子のリチオ化を可能にする非従来型の材料と機構は、高出力用途、高速充電デバイス、全固体エネルギー貯蔵システム、電極設計、材料発見に影響を及ぼす。

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