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核物理学:電子捕獲による核励起の実験的証拠としての異性体枯渇

Nature 554, 7691 doi: 10.1038/nature25483

原子核とその電子は、相互引力によって原子内に共に保持される独立した系と考えられることが多い。しかし、それらの相互作用によって、励起された核状態にさらなる崩壊モード(原子核がγ線の代わりに原子内電子を放出してエネルギーを放出する)を与えるなど、他の重要な影響が生じる。この「内部転換」は約100年前から知られており、これを用いて、原子核や、原子核と原子内電子の相互作用を調べることができる。電子捕獲による核励起(NEEC)という逆の過程では、自由電子の運動エネルギーと捕獲後の結合エネルギーの大きさの和が2つの状態の核エネルギーの差に一致する場合には、1つの自由電子が1つの原子空孔に捕獲され、原子核をより高いエネルギー状態に励起できる。NEECは1976年に予測されたが、これまで観測されていなかった。今回我々は、モリブデン93におけるNEECの証拠について報告し、この過程の確率と断面積をビームを基盤とした実験シナリオにおいて決定した。今回の結果から、NEECに関する理論モデルの評価基準が得られ、断面積が複数桁にまたがると予測された。NEEC過程の最も重要な実際的効果は、恒星環境における原子核の残存に対するものと思われ、この環境では異性体(すなわち、長寿命の原子核状態)をより短寿命の状態に励起できる。このような励起は、同位体生成後の同位体の存在量を減少させる可能性がある。これは「異性体枯渇」の例であり、これまで他の反応を通して調べられてきたが、今回はこれを、NEECの証拠を得るのに用いた。

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