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遺伝子工学:DNAを切断せずにゲノムDNA内のA–TをG–Cへ変換するプログラム可能な一塩基編集技術

Nature 551, 7681 doi: 10.1038/nature24644

自然に起こるシトシンの脱アミノ化は、C–G塩基対からT–A塩基対へのトランジションの主な要因の1つであり、これはヒトで疾患の原因となることが知られている点変異の半分に当たる。従って、標的とするA–T塩基対をG–C塩基対へ効率的に変換することができれば、遺伝病の研究や治療の進展につながると考えられる。アデニンの脱アミノ化はイノシンを生じ、これはポリメラーゼによってグアニンとして扱われるが、DNA中のアデニンを脱アミノ化する酵素は知られていない。本研究では、ゲノムDNA中のA–TのG–Cへの変換を仲介するアデニン塩基エディター(ABE)について報告する。我々は転移RNAのアデノシンデアミナーゼを、触媒活性をなくしたCRISPR–Cas9変異体と融合させたときにDNAに作用するように進化させた。大規模な指向性進化とタンパク質工学により作り出された第7世代のABEは、標的とするA–T塩基対を効率的にG–C塩基対へ変換し(ヒト細胞で約50%の効率)、生成物純度は高く(通常99.9%以上)、挿入/欠失もまれ(通常0.1%以下)だった。ABEは、現状のCas9ヌクレアーゼによる方法よりも、より効率的かつ正確に点変異を導入し、オフターゲットゲノム修飾も少なく、ヒト細胞に疾患修正変異や疾患抑制変異を導入することができる。以前の塩基エディターと合わせて用いることで、ABEにより二本鎖DNA切断を起こさずに4種類全てのトランジション変異をプログラムして直接的に導入できるようになった。

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