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ゲノミクス:コムギのDゲノムの起源であるタルホコムギのゲノム塩基配列

Nature 551, 7681 doi: 10.1038/nature24486

タルホコムギ(Aegilops tauschii)は、六倍体であるパンコムギ(Triticum aestivum、ゲノム構成はAABBDD)のDゲノムの二倍体祖先種であり、コムギの重要な遺伝資源である。タルホコムギのゲノムはサイズが大きく反復が多いことから、これまで参照品質のゲノム塩基配列の解読は不可能だった。今回我々は、整列化クローンゲノム塩基配列解読法、全ゲノムショットガン塩基配列解読法、およびBioNano光学ゲノムマッピング法などの一連の先端技術を用いて、コムギのDゲノムに近縁なタルホコムギのstrangulata亜種AL8/78系統の参照品質のゲノム塩基配列を得た。塩基配列が解読されている他の植物ゲノム(はるかに大きな針葉樹のゲノムを含む)と比較して、タルホコムギのゲノムには、非常に類似した反復配列がこれまでにないほど大量に含まれていることが明らかになった。今回のゲノム比較によって、タルホコムギのゲノムには、分散された重複遺伝子が他の解読済みゲノムよりも数多く存在し、その染色体の構造進化は、他のイネ科植物ゲノムのものよりも1桁高速であることが分かった。他のイネ科植物ゲノムとの共直線性の崩壊は、染色体上の組換え率と相関している。我々は、非常に似た反復配列が膨大な量存在することで組換え時にエラーが頻繁に起こり、これが遺伝子重複および染色体の構造変化をもたらして、ゲノムの高速進化を駆動したと考える。

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