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素粒子物理学:反陽子磁気モーメントの10億分の1の精度での測定

Nature 550, 7676 doi: 10.1038/nature24048

物質–反物質共役の基本特性を正確に比較することは、素粒子物理学の標準模型の基本的な仮定に基づく重要な対称性である、CPT(荷電共役変換、パリティ変換、時間反転)不変性の高感度試験となる。中間子、レプトン、バリオンに関する実験において、10億分の1レベル以上の相対的な不確かさで物質–反物質共役のさまざまな特性が比較されている。しかし、反陽子の磁気モーメント、μpという特定の1つの量は、100万分の1レベルの相対的な不確かさでしか知られていない。高精度測定が極めて難しいのは、μpが非常に小さいためであり、その大きさは、例えば陽電子の磁気モーメントの660分の1である。本論文では、μpを、核磁子μNを単位として15億分の1(信頼水準68%)の相対的な不確かさで高精度に測定した結果について報告する。我々は、先進的な極低温マルチペニングトラップシステムにおいて2粒子分光法を使用した。我々が得たμp = −2.7928473441(42)μN(カッコ内の数字は値の最後の2桁の68%信頼区間を表す)という結果は、これまでで最も優れたμp測定より精度が約350倍向上している。この測定値は、陽子の磁気モーメントμp = 2.792847350(9)μNと矛盾せず、CPT不変性は保たれている。結果として、今回の測定によって、特定のCPTの破れの効果の大きさが1.8 × 10−24ギガ電子ボルト以下であり、CPTの破れをもたらす次元5の相互作用に由来する陽子と反陽子の磁気モーメントの差が6 × 10−12ボーア磁子以下であることが明らかになった。

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