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ゲノミクス:多数のヒト組織におけるX染色体不活性化の全体像

Nature 550, 7675 doi: 10.1038/nature24265

雌の哺乳類細胞では、X染色体不活性化(XCI)により、2本のX染色体のうちの1本の転写が抑制されて、XXである雌とXYである雄の間での発現量のバランスが取られている。しかし、XCIはヒトでは不完全で、女性の細胞ではX染色体遺伝子の約3分の1は活性化X染色体(Xa)と不活性化X染色体(Xi)の両方から発現しており、不活性化を「回避」する程度は遺伝子間や個体間で異なっている。細胞や組織の間でXCIがどの程度分配されるかについてはよく分かっておらず、不完全なXCIが遺伝子発現や表現型形質において検出可能な性差として現れる程度も同様に分かっていない。今回我々は、GTEx(v6pリリース)の449人の29組織から得た5500以上のトランスクリプトームと940の単一細胞トランスクリプトームを統合し、ゲノム塩基配列データと組み合わせて、XCIを系統的に調べた結果を報告する。683のX染色体遺伝子でのXCIは、ヒト組織全般で概して同等であったが、組織間、個体間、細胞間で不均一性の例がいくつか見つかった。我々は不完全なXCIがX染色体遺伝子の少なくとも23%に影響を及ぼすことを示し、複数方面からの証拠を裏付けとしてXCIを回避する7つの遺伝子を明らかにし、XCIの回避は遺伝子発現の性別による偏りを引き起こすことを実証し、これらによって不完全なXCIは、表現型の多様性をもたらす可能性が高い機構であることが確立された。総合的に、多数のヒト組織にわたるXCIのこの最新カタログは、XCIの維持における不完全性の程度や影響についての我々の理解を深めるのに役立つ。

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