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微生物学:クリプトスポリジウム属のPI(4)K阻害剤はクリプトスポリジウム症の治療薬候補である

Nature 546, 7658 doi: 10.1038/nature22337

下痢症は、世界の小児死因の8.6%を占める。最近の疫学研究からは、クリプトスポリジウム属(Cryptosporidium)の寄生性原生動物が小児下痢症の主因であり、乳児や免疫低下個体で特に深刻な影響を及ぼすことが明らかになっているが、こうした下痢症にはワクチンも有効な治療法も存在しない。今回我々は、拡張性のある表現型アッセイと、トランスジェニック寄生虫を活用したマウスモデルに基づく創薬プロセスを確立した。抗寄生虫活性を持つ化合物ライブラリーのスクリーニングから、ピラゾロピリジン類がCryptosporidium parvumおよびCryptosporidium hominisの阻害剤であることが明らかになった。ピラゾロピリジンKDU731による経口治療の結果、免疫低下マウスで腸内感染の大幅な減少が見られた。この治療はまた、ヒトでの感染と非常に類似しクリプトスポリジウム症の臨床モデルとされる新生仔ウシで、下痢症および脱水症状を速やかに解消した。今回の結果は、クリプトスポリジウム属の脂質キナーゼであるPI(4)K(ホスファチジルイノシトール4-OHキナーゼ)がピラゾロピリジン類の標的であり、KDU731にはクリプトスポリジウム症の治療薬候補としてさらなる前臨床試験を行う価値があることを示唆している。

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