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ウイルス学:ネッタイシマカでの進化によるジカウイルス感染力の上昇

Nature 545, 7655 doi: 10.1038/nature22365

ジカウイルス(ZIKV)は、最近の爆発的大発生[フランス領ポリネシア(2013~2014年)や南米(2015~2016年)]まで、あまり知られていなかった。系統発生学的研究から、ZIKVはアフリカ系統およびアジア系統に進化したことが示されている。ZIKVのアジア系統は最近の南北アメリカ大陸での流行の原因であった。しかし、ZIKVがアジアから南北アメリカ大陸に迅速かつ爆発的に拡大した原因となる機構は解明されていない。NS1(non-structural protein 1)は、感染した哺乳類宿主から蚊がフラビウイルスを獲得するのを促進し、次に、蚊でのウイルス保有率を上昇させる。今回我々は、吸血によりZIKVを獲得する媒介動物であるネッタイシマカ(Aedes aegypti)において、NS1抗原血症がZIKVの感染力を決定することを示す。南北アメリカ大陸での一番最近の大発生で得られた臨床分離株は、2010年にカンボジアで分離されたFSS13025株より蚊での感染力が高まっていた。さらなる解析から、これらの流行株は、NS1の188番目のアラニン残基のバリンへのアミノ酸置換が起こっていたため、FSS13025株よりNS1抗原血症が亢進していることが分かった。I型およびII型のインターフェロン(IFN)受容体を欠損するウイルス血症C57BL/6マウス(AG6マウス)からZIKVを獲得した蚊では、ZIKV FSS13025株におけるこのアミノ酸置換によりZIKV感染力が高まっていた。我々の結果から、ZIKVが進化してNS1タンパク質に自然に生じる変異を獲得したことで、NS1抗原血症が亢進したことが明らかになった。感染宿主でのNS1抗原血症の亢進はZIKVの感染力や保有率を高め、これが最近のZIKV流行の際に伝播を促進した可能性がある。

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