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保全ゲノミクス:サンゴ礁に有害なオニヒトデの生物的防除に役立つ、オニヒトデのゲノム

Nature 544, 7649 doi: 10.1038/nature22033

オニヒトデ(Acanthaster planci;以下COTSと記載)はインド太平洋全域に分布し、繁殖力が非常に高く、造礁サンゴを捕食する。COTSの大発生は、サンゴ被度の大幅な低下を引き起こし、サンゴ礁生態系の完全性や復元力を低下させる。今回我々は、オーストラリアのグレートバリアリーフおよび沖縄から得たCOTSのゲノム塩基配列を解読し、種特異的なコミュニケーションの基盤にある、生物的な防除戦略に使える可能性のある遺伝子産物を見いだした。我々は、COTSの集団から水中に放出される化学物質プルームが、通常はあまり動かないCOTSを著しく活動的にすることに着目した。こうしたプルームから質量分析法によって検出されたペプチド塩基配列は、COTSゲノムにコードされ、外部の組織で発現している。COTS集団から放出されるこのエキソプロテオーム(細胞外タンパク質群)は、主にシグナル伝達因子と加水分解酵素で構成されており、遺伝子数が増えて急速に進化したCOTS特異的なエペンデミン関連タンパク質を含んでいる。これらの分泌タンパク質は、COTSの外部組織で時に性特異的な様式で発現している、嗅受容体に類似したGタンパク質共役受容体の大きなファミリーのメンバーによって検出されている可能性がある。今回の研究によって得られた、COTS特異的なコミュニケーションについての手掛かりは、サンゴ礁で大発生しているCOTSに対して使用できる一連のペプチド模倣剤の開発に役立つかもしれない。

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