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ウイルス学:ゲノム規模のCRISPRスクリーニングによるフラビウイルス宿主因子の遺伝的分析

Nature 535, 7610 doi: 10.1038/nature18631

フラビウイルス科(Flaviviridae)はヒトに重度の疾患を引き起こすウイルスの1科である。例えば、急速に懸念が広まっている病原体であるデングウイルス(DENV)は、毎年、世界中でおよそ1億例の症候性感染を引き起こしている。これまでのところ承認された抗ウイルス薬はなく、4価デングワクチンの臨床試験では防御率が期待外れの低さであることが示された。C型肝炎ウイルス(HCV)もいまだに重要な医学的問題であり、慢性感染患者は世界中に1億6000万人存在し、利用可能な治療法は高価なもののみである。この2つのウイルスは発症機序および伝播様式に明らかな違いがあるが、複製戦略は共通している。ウイルス感染を決定する宿主機能の詳細な理解は欠けている。今回我々は、プール型CRISPR遺伝的スクリーニング戦略を用いて、これら2つの非常に重要なフラビウイルス科ウイルスに必要な宿主因子を包括的に解明した。DENVについては、シグナル配列の認識、N結合型グリコシル化、小胞体関連分解に関与する、小胞体関連多タンパク質複合体を明らかにした。オリゴ糖転移酵素(OST)複合体を欠損する細胞では、DENVの複製はほぼ完全に起こらなかった。機構的研究から、ウイルスの侵入あるいは翻訳ではなくウイルスRNAの複製が、OST複合体を必要とする重要な段階であることが示された。さらに、ウイルスの非構造タンパク質がOST複合体に結合することが分かった。明らかになったこの小胞体関連タンパク質複合体は、重度の先天異常を引き起こす新興病原体のジカウイルスなど、他の蚊媒介性フラビウイルスによる感染にも重要であった。対照的に、HCVスクリーニングで見つかった非常に重要な遺伝子群は独特で、ウイルス受容体、RNA結合タンパク質、代謝に関与する酵素を含んでいた。細胞内のフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)レベルとHCV複製の間に予想外の関連があることが分かった。この研究は、宿主依存性因子についてはDENVとHCVの間に顕著な相違があることを示しており、抗ウイルス療法のための新しい宿主標的を明らかにしている。

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