Letter

ウイルス学:CRISPRスクリーニングで明らかになった、フラビウイルスが必要とするシグナルペプチドプロセシング経路

Nature 535, 7610 doi: 10.1038/nature18625

年間に数億人がフラビウイルスに感染しており、現在利用できる抗ウイルス治療はない。我々は、ゲノム規模でのCRISPR/Cas9に基づくスクリーニングを行い、編集することによってフラビウイルスの感染を減少させることができる宿主遺伝子を明らかにした。フラビウイルスの感染性に必要な9つのヒト遺伝子について調べたところ、これらはトランスロケーション、タンパク質分解、N結合型グリコシル化といった小胞体機能に関連していた。特に、小胞体関連シグナルペプチダーゼ複合体(SPCS)タンパク質の一群は、フラビウイルス構造タンパク質(prMとE)の適切な切断と、ウイルス粒子の分泌に必要だった。SPCS1の発現が失われると、調べたフラビウイルス科(Flaviviridae)のウイルス(ウエストナイルウイルス、デングウイルス、ジカウイルス、黄熱病ウイルス、日本脳炎ウイルス、C型肝炎ウイルス)の全てで産生が顕著に低下したが、アルファウイルス、ブニヤウイルスおよびラブドウイルスの感染や、さまざまな宿主タンパク質の表面での発現や分泌には、ほとんど影響がなかった。我々は、SPCS1の依存性は、prMタンパク質の本来のリーダー配列を、クラスI主要組織適合遺伝子複合体(MHC)抗原のリーダー配列と置き換えることで回避できることを見いだした。従って、SPCS1は、直接的に、または宿主タンパク質との相互作用を介して間接的に、特定のタンパク質積み荷のプロセシングを選択的に促進しており、フラビウイルスはこのシグナルペプチドプロセシング経路に独特な依存性を持つ。医学的に懸念されるフラビウイルスの数が増加しており、SPCS1や他のシグナルプロセシング経路の因子は、その感染を抑制するための薬理学的標的となる可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度