Letter

発生学:ミトコンドリアDNA病を防ぐための前核移植の臨床応用に向けて

Nature 534, 7607 doi: 10.1038/nature18303

ミトコンドリアDNA(mtDNA)の変異は母性遺伝し、さまざまな消耗性疾患、致死的疾患に関連している。mtDNAの遺伝を核DNAと切り離すように設計された生殖医療技術を使えば、変異を持つ女性でも、遺伝的につながりがあり、しかもmtDNA病のリスクは大幅に低い子どもを持つことができる可能性がある。今回我々は、前核移植(pronuclear transplantation;PNT)の初めての前臨床試験を行った。意外にも、ヒト異常受精卵を用いた概念実証実験で使われた技術は、正常受精卵では忍容性が低かった。そのため代替法として、第1有糸分裂の直前ではなく、減数分裂完了直後に前核移植を行う方法を開発した。この方法で、胚盤胞段階まで効率よく発生が進み、異数性あるいは遺伝子発現への影響は観察されなかった。手法を最適化した後には、PNT胚盤胞の大多数(79%)で持ち越されるmtDNAが2%未満に減少した。mtDNAの持ち越しをできるだけ低いレベルに減少させる重要性は、mtDNAの持ち越しが4%のPNT胚盤胞から作製した幹細胞株でヘテロプラスミーが次第に増加することからも明確である。結論として、PNTはmtDNA病のリスクを減らせる可能性があるが、mtDNA病の防止は保証できないかもしれないと、我々は考えている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度