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大気科学:大気中の粒子の初期成長における低揮発性有機化合物の役割

Nature 533, 7604 doi: 10.1038/nature18271

今日の雲凝結核の約半分が大気中の核生成によって生じており、新たな粒子の爆発的な生成として正午ごろに頻繁に現れる。大気観測によって、新たな粒子の成長速度は、粒子の直径が1~10 nmのときに速くなることが多いと示されている。この臨界サイズの範囲では、新たな粒子はすでに存在する粒子に凝結して失われる可能性が高いため、直径が概して50~100 nmという新たな雲凝結核は生成されない。硫酸蒸気は、核形成に関与することが多いが、その後の成長の大半を説明するには少な過ぎるため、少なくとも地球の境界層では、有機物蒸気がそれに代わる最も可能性の高いものである。近年の研究では、初期成長における低揮発性有機物蒸気の寄与が予測されているが、直接的な証拠はこれまでなかった。凝結し得る有機種の光分解生成が午後に増大して成長が加速される可能性があり、最小粒子への有機物蒸気の凝結が阻害される(ナノ-ケーラー理論)ケルビン効果(曲率効果)の存在は、これまで不確かなままであった。今回我々は、大型チャンバーにおいて大気条件下で、硫酸などの無機酸や、アンモニアやアミンなどの無機塩基が存在しない場合の、核生成有機物粒子の初期成長における有機物蒸気の役割を調べた。同じ一連の実験から得られたデータを用いて、有機物蒸気のみで核生成を促進できることが示された。我々は、核生成粒子の成長に注目し、初期成長を促進する有機物蒸気は、極めて揮発性が低い(飽和濃度が10−4.5 μg m−3未満)ことを見いだした。粒子のサイズが大きくなり、ケルビン障壁が低下すると、その後の成長は主に揮発性が少し高い(飽和濃度が10−4.5~10−0.5 μg m−3)、より豊富に存在する有機物蒸気によって起こる。我々は、今回の測定結果を定量的に再現する粒子成長モデルを示す。さらに我々は、全球エアロゾルモデルにおける成長の第一段階のパラメーター化を行い、大気の雲凝結核濃度は濃度に応じて大きく変化し得ること、すなわち、これまで仮定されていた成長速度のパラメーター化と比べて最大で50%増大し得ることを見いだした。

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