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大気科学:純粋な生物起源粒子のイオン誘発核生成

Nature 533, 7604 doi: 10.1038/nature17953

大気中のエアロゾルとその雲への影響は、気候の人為的放射強制力に大きく寄与していると考えられているが、まだよく分かっていない。全球的には、雲凝結核の約半分が大気中の蒸気の核生成によって生じる。大気中での粒子形成の大半が始まるには硫酸が不可欠であり、イオンが果たす役割は相対的に小さいと考えられている。しかし、一部の実験室研究では、汚染物質混入の可能性を排除できなかったものの、硫酸を意図的に加えなくても有機粒子が形成されたことが報告されている。今回我々は、大型チャンバーにおいて大気条件下で硫酸が存在しない場合に、生物起源の高酸化蒸気からエアロゾル粒子が形成されることを示す証拠を提示する。高酸化分子(HOM)は、α-ピネンのオゾン分解によって生成される。我々は、中性の核生成と比較すると、銀河宇宙線が生成するイオンによって核生成速度が1~2桁速くなることを見いだした。今回の実験結果は、代表的なHOMのクラスター結合エネルギーの量子化学計算によって裏付けられた。純粋な有機粒子のイオン誘発核生成は、硫酸汚染が少ない陸域環境において、広範囲にわたってエアロゾル粒子の供給源となっている可能性がある。

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