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マイクロバイオーム:「培養不可能な」ヒト微生物相の培養によって明らかになった新しいタクソンと広範囲にわたる胞子形成

Nature 533, 7604 doi: 10.1038/nature17645

ヒトの腸内微生物相には、栄養や健康に必要な多様な細菌からなる群集が含まれている。細菌の腸内への定着は出生時から始まり、ファーミキューテス門とバクテロイデス門に属する偏性嫌気性菌の2大グループが獲得されて最大に達する。培養に依存しないゲノミクス手法によって、ヒトのマイクロバイオームが健康や多くの病気に果たしている役割についての我々の理解は大きく変わった。しかし、ヒト固有の細菌の大半は培養が困難だと広く考えられていることが原因となって、その機能や表現型の多くは解明されないままになっている。今回我々は、表現型標的培養(targeted phenotypic culturing)を基盤とし大規模な全ゲノム塩基配列解読や系統発生解析、数理モデル作製と結び付けるという新しい研究手法を用いて、腸内細菌のかなりの割合が培養可能であることを明らかにする。この手法を複数の健康なヒトに適用して137の細菌種を単離した。これらは純粋培養として得られたもので、特性の調べられている、あるいは新規な可能性のある科、属、種に由来する。全ゲノム規模での塩基配列解読、メタゲノム塩基配列解読を計算解析、表現型解析と組み合わせて使い、健康なヒトの腸内微生物相由来の細菌属の少なくとも50~60%が、宿主間での伝播に特化した回復力の強い胞子を形成することが示唆された。我々の手法により、ヒト腸内微生物相が表現型解析の対象とすることができ、また酸素感受性の腸内細菌のかなり多くをヒト個体間で伝播可能にし、微生物相の遺伝性に影響を及ぼす仕組みが明らかにされた。

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