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ウイルス学:コロナウイルスのスパイク糖タンパク質三量体の低温電子顕微鏡構造

Nature 531, 7592 doi: 10.1038/nature16988

コロナウイルスが非常に大規模なパンデミックを引き起こす可能性は、死亡率の高い肺炎の2回の世界的大流行によって、過去数十年間に二度にわたり立証された。細胞へのコロナウイルス侵入は膜貫通型のスパイク糖タンパク質Sによって行われ、このタンパク質は、受容体と結合し膜融合する機能を持つ三量体を形成している。Sはまた、主要な抗原決定基を含んでいて、中和抗体の標的である。今回我々は、単粒子低温電子顕微鏡法により4.0 Å分解能で決定したマウスコロナウイルスのS三量体エクトドメインの構造を示す。この構造により、Sの融合前の準安定な構造が明らかになり、安定化に重要な相互作用がはっきりした。この構造は、パラミクソウイルスFタンパク質とコアが共通であることから、これらのウイルスの融合タンパク質間では作用機構が類似しており、また進化的に関連があると考えられる。三量体の周辺部分にあるよく保存された融合ペプチドへの接近しやすさは、コロナウイルスに対する広範囲中和抗体を生じさせるワクチン戦略の可能性を示している。さらに、ヒトコロナウイルスSドメインの結晶構造との比較により、空間的に近接しているが異なるドメインを使うことに基づくコロナウイルスの種特異性の分子基盤が合理的に説明される。

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