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植物ゲノミクス:海草アマモのゲノムから被子植物の海への適応が明らかになった

Nature 530, 7590 doi: 10.1038/nature16548

海草は、少なくとも3回の独立した機会に海に定着し、地球上で最も生産力が高く広範に及ぶ沿岸生態系の1つの基盤を形成した。本研究では、我々の知るかぎりで初めて塩基配列が完全に解読された海生被子植物となるアマモ(Zostera marina L.)のゲノムについて報告する。これにより、アマモの海での生活に必要とされる構造的および生理学的適応の達成に関与したゲノムの喪失や獲得について、独自の手掛かりが得られた。海への移行は、被子植物がこれまで成し遂げた生息環境の移行の中でほぼ間違いなく最も厳しいものである。被子植物の重要な新機軸のうち失われたものの中には、気孔関連遺伝子一式、テルペノイド合成やエチレンシグナル伝達に関わる遺伝子、紫外線防御のための遺伝子や遠赤色光受容に関わるフィトクロム遺伝子が含まれている。また海草は、高い塩分濃度への適応を可能にする機能も複数獲得した。その細胞壁には陸上植物に典型的な多糖類を全て含むだけでなく、ポリアニオン性低メチル化ペクチンや硫酸化ガラクタンも含んでいる。硫酸化ガラクタンの含有は大型藻類の細胞壁と共通する特徴であり、イオン恒常性や栄養素取り込み、葉の表皮細胞を通じたO2/CO2交換に重要である。アマモのゲノム情報資源は、気候温暖化の下での海洋生態系の適応から、農作物の塩耐性進化を解明するための情報を得るのに役立ちそうな高塩分濃度下での浸透圧調節の機構解明まで、さまざまな機能生態学研究を大きく押し進めるものである。

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