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神経科学:プロトン依存性のCa2+透過性TRPチャネルは虚血を模倣した状態でミエリンを傷害する

Nature 529, 7587 doi: 10.1038/nature16519

軸索にオリゴデンドロサイトが巻き付いて形成するミエリン鞘は、脳機能にとって極めて重要である。虚血状態では、ミエリンがCa2+に依存する形で傷害され、活動電位の伝播が消滅する。これは、グルタミン酸放出により活性化されるCa2+透過性N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体に起因すると考えられている。今回我々は、意外なことに、成熟オリゴデンドロサイトではNMDAは細胞内Ca2+濃度([Ca2+]i)を上昇させず、また、虚血はグルタミン酸誘導性膜電流を引き起こすが、これは細胞外[K+]の上昇と細胞膜K+コンダクタンスの低下によって起こることを示す。それにもかかわらず、虚血はオリゴデンドロサイトの[Ca2+]i、[Mg2+]iおよび[H+]iを上昇させ、細胞内pHの緩衝は[Ca2+]iおよび[Mg2+]iの上昇を軽減することから、これらの変化が[H+]iの上昇により引き起こされることが分かる。このH+依存性の[Ca2+]i上昇は、TRPA1の特性を有するチャネルにより仲介され、ルテニウムレッド、イソペンテニルピロリン酸、HC-030031、A967079、あるいはTRPA1のノックアウトにより抑制される。TRPA1の遮断は、虚血時のミエリン傷害を軽減する。これらのデータから、TRPA1を含むイオンチャネルが白質の虚血時の治療標的となり得ることが示唆される。

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