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ゲノミクス:半索動物のゲノムと新口動物の起源

Nature 527, 7579 doi: 10.1038/nature16150

ギボシムシは腸鰓類(enteropneust;「腸に鰓を持つ動物」の意)とも呼ばれる半索動物で、棘皮動物および脊索動物と共通の特徴を有する海洋無脊椎動物である。この3門を合わせて新口動物が構成される。本論文では、クビナガギボシムシ(Saccoglossus kowalevskii)およびヒメギボシムシ(Ptychodera flava)という2種のギボシムシの概要ゲノム塩基配列を報告する。我々は、これらをさまざまな左右相称動物のゲノムと比較することにより、新口動物の最終共通祖先から受け継がれたと考えられる共有形質を特定し、次いで、この祖先から半索動物、棘皮動物および脊索動物が生じた進化の軌跡を追究した。今回明らかになった半索動物ゲノムには、ナメクジウオなどの左右相称動物との間で保存されている大規模なシンテニー、および保存された遺伝子調節エレメントと考えられる高度に保存された非コード配列が認められる。中でも、半索動物は4個並んだ転写因子遺伝子という新口動物に特異的なゲノムクラスターを有し、その発現は初期の新口動物の最も重要な形態的新機軸である咽頭鰓裂の発生と関係しており、おそらく濾過摂食性の生活様式の中心を担うものと考えられる。比較解析では新口動物に特有の新奇な遺伝子が多数発見され、その中には新口動物および海洋微生物に認められるが他の動物には存在しない遺伝子もあった。こうした遺伝子に推定される機能を、濾過摂食性の祖先の生理的、代謝的および発生的な特殊化と結び付けることができる。

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