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神経疾患:ヒトにおけるアミロイドβ病変および脳アミロイド血管症の伝播の証拠

Nature 525, 7568 doi: 10.1038/nature15369

世界中で200人以上が、プリオンで汚染されたヒトの死後脳下垂体に由来する成長ホルモンで治療を、通常は小児期に受けた結果、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)を発症した。このような治療は1985年に中止されたが、ヒトプリオン感染では潜伏期間が長期にわたるため、医原性CJD(iCJD)の発生は続いている。意外なことに、36~51歳の8人のiCJD患者の剖検研究では、そのうちの4人に中程度から重度の灰白質病変および血管のアミロイドβ(Aβ)病変が見られた。灰白質のAβ沈着はアルツハイマー病に一般的に見られるものであり、血管壁のAβ沈着は脳アミロイド血管症の特徴だが、これらのAβ沈着はプリオンタンパク質の沈着とは共局在していなかった。これらの患者に早期発症型アルツハイマー病に関連する病原性変異や、APOE 4などの高リスク対立遺伝子を持つ人はいなかった。ある前向き観察コホート研究に参加した他のプリオン病の患者116人を調べたところ、同様の年齢幅あるいは10歳年齢が高い症例では、APOE 4リスク対立遺伝子を持たない場合、Aβ病変は全く見られないか、あってもごくわずかであることが分かっている。我々は、Aβ病変の見られる患者の脳下垂体についても解析し、複数の症例で顕著なAβ沈着を見いだした。Aβ病変の実験的なシード形成は以前に、霊長類およびトランスジェニックマウスでアルツハイマー病の脳ホモジェネートを中枢神経系あるいは末梢神経に接種することにより実証されている。今回、比較的若いiCJD患者で、実質や血管に顕著なAβ沈着が見られたことは、他のプリオン病患者や集団対照とは対照的に、CJDに加えてAβ病変の医原性伝播もあることと一致しており、曝露された健康な人も医原性のアルツハイマー病や脳アミロイド血管症を発症するリスクがあり得ることを示唆している。これらの知見によって、プリオン伝播の他の既知の医原性ルートも、神経変性疾患やその他のヒト疾患に関連するAβなどのタンパク質病のシードに関係しているかどうかについての研究が促されるだろう。

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