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高エネルギー物理学:CMSとLHCbのデータを組み合せた解析によるまれなBs0μ+μ崩壊の観測

Nature 522, 7554 doi: 10.1038/nature14474

素粒子物理学の標準模型は、強い力、電弱力、弱い力を通して、基本粒子とそれらの相互作用を記述する。これは、実験により検証可能な測定できる量を正確に予言する。反対電荷を持つ2個のμ粒子(μ+μ)へ崩壊するストレンジB中間子(Bs0)とB0中間子の生成確率、つまり分岐比は、標準模型を拡張する理論に敏感なため、特に興味深い。標準模型は、Bs0μ+μ崩壊とB0μ+μ崩壊が極めてまれであり、前者は10億個のBs0中間子が生成されるごとに約4回起こり、後者は100億個のB0中間子が生成されるごとに1回起こると予言している。観測される分岐比と標準模型の予言に差があれば、標準模型を拡張すべき方向が得られるだろう。CERNの大型ハドロン衝突型加速器(LHC)の運転が始まる前は、いずれの崩壊モードもそれを示す証拠は得られていなかった。この分岐比の上限は標準模型の予言よりも1桁上であった。CMS(Compact Muon Solenoid)collaborationとLHCb(Large Hadron Collider beauty)collaborationは、7テラ電子ボルトの重心エネルギーで2011年に、また8テラ電子ボルトで2012年に収集した陽子–陽子衝突のデータを共同して解析した。本論文では、6標準偏差を超える統計的有意性でBs0μ+μ崩壊を初めて観測した結果と、この分岐比のこれまでで最良の測定結果を報告する。さらに、3標準偏差の統計的有意性でB0μ+μ崩壊を示す証拠も得た。測定結果はどちらも標準模型の予言と統計的に矛盾せず、標準模型を超える理論に厳しい制約を課すことができる。LHC実験は、2015年にデータを再び取り始める予定であり、13テラ電子ボルトの重心エネルギーで陽子–陽子衝突を記録することになる。これによって、Bs0中間子とB0中間子の生成率が約2倍になり、こうした標準模型の極めて重要な検証の精度がさらに改善されるだろう。

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