Article

ゲノミクス:テナガザルのゲノムと小型類人猿の核型の高速進化

Nature 513, 7517 doi: 10.1038/nature13679

テナガザル類は小型の樹上性類人猿で、進化的染色体再編成の加速が認められ、霊長類の系統樹上で旧世界ザルと大型類人猿の間の重要な分岐点に位置付けられている。本論文では、キタホオジロテナガザル(Nomascus leucogenys)のゲノムを組み立てて解析した結果を示す。テナガザル特有のレトロトランスポゾン(LAVA)には、染色体分配に関わる遺伝子への組み込みと中途終止部位の導入によって転写を変化させる性質があることが分かり、テナガザル系統のゲノム可塑性をもたらす分子機構である可能性が示唆された。また、テナガザルの各属(NomascusHylobatesHoolockおよびSymphalangus)は約500万年前にほぼ同時に放散したことも明らかになった。これは、生息地の縮小と拡大の繰り返しを引き起こした東南アジアの主要な地理的変化と一致する。さらに、前肢発生および結合組織に重要な遺伝子(TBX5およびCOL1A1)に正の選択の特徴も見つかり、これらの遺伝子がテナガザルの樹上生息環境への適応に関与した可能性が示された。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度