Letter

ゲノミクス:後生動物のクロマチン構造の比較分析

Nature 512, 7515 doi: 10.1038/nature13415

ゲノムの機能のダイナミックな調節を部分的に担っているのがクロマチンで、DNAを小さくまとめるヒストン、非ヒストンタンパク質、RNA分子から構成されている。ヒトゲノムの機能する仕組みを分子レベルで解明するのには、線虫の一種であるCaenorhabditis elegansやキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)を使った研究が大いに役立っており、クロマチンの成分や機構が保存されていることがそうした研究により判明している。しかしこれら3種の生物は、ゲノムの大きさ、染色体の構造、遺伝子構成共に著しく異なっている。例えば、ヒトとショウジョウバエの染色体では1個のセントロメアを挟むように両側にヘテロクロマチン領域が存在するが、線虫の染色体ではヘテロクロマチンに似た領域は散在していて、末端に近い染色体「腕」に多く、複数のセントロメアが染色体全域に分布する。種を跨いでクロマチン構造とそれらに関連する遺伝子調節を系統的に調べるため、我々は、線虫、ショウジョウバエ、ヒトの複数の細胞株および複数の発生段階からゲノム規模のクロマチンデータを大量に採取して、解析した。本論文では、ENCODEとmodENCODEコンソーシアムから800を超える新しいデータセット(全体で1,400以上)を報告する。ヒストン修飾の組み合わせパターン、核ラミナ関連領域、大規模なトポロジー領域の構成、プロモーターとエンハンサーのクロマチン環境、ヌクレオソームの配置、DNA複製パターンを比較することにより、3種の生物の間でクロマチン構造の特徴が数多く保存されていることが明らかになった。また、抑制的クロマチンの組成と位置には、顕著な違いがあることも分かった。これらのデータセットと解析は、クロマチンの組成、構造、機能の種特異的研究や比較研究の貴重なリソースとなるだろう。

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