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がんゲノミクス:尿路上皮膀胱がんの包括的な分子特性解析

Nature 507, 7492 doi: 10.1038/nature12965

膀胱の尿路上皮がんはよく見られる悪性腫瘍で、全世界で毎年およそ15万人がこれによって死亡している。現在のところ、このがんの治療用として承認された分子標的薬はない。今回我々は、がんゲノムアトラスプロジェクトの一環として131例の尿路上皮がんの統合解析を行い、分子変化の包括的な全体像を得た。32個の遺伝子に統計的に有意な頻発性変異が存在し、その中には、細胞周期調節やクロマチン調節、キナーゼシグナル伝達経路に関与する複数の遺伝子に加えて、これまで他のどのがんでも有意な変異が生じていると報告されていなかった9個の遺伝子が含まれている。RNA塩基配列解読からは4つの発現サブタイプが明らかになり、そのうち2つ(乳頭腫様と基底細胞がん/扁平上皮がん様)はマイクロRNA塩基配列データやタンパク質データにもはっきり表れている。全ゲノムおよびRNAの塩基配列解読により、頻発性のインフレーム活性型FGFR3–TACC3融合や、遺伝子の不活性化を伴う数種類のウイルス(HPV16など)の発現もしくは組み込みが確認された。今回の解析によって、これらの腫瘍の69%で治療標的候補が見つかり、ホスファチジルイノシトール 3-OHキナーゼ/AKT/mTOR経路に標的のあるものが42%、RTK/MAPK経路に標的(ERBB2など)のあるものが45%などであった。クロマチン調節遺伝子は、尿路上皮がんにおいて、これまでに調べられた他のよく見られるがんのどれよりも高い頻度で変異しており、クロマチン異常に対する標的療法の将来の可能性を示している。

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