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ゲノミクス:ゾウギンザメのゲノムは、顎口類の進化を理解する上で比類ない手がかりを提供する

Nature 505, 7482 doi: 10.1038/nature12826

顎を持つ脊椎動物(顎口類もしくは有顎類)は顎のない脊椎動物(無顎類)から出現したが、それに伴って、蝶番で連結された顎、対鰭、免疫グロブリンを基盤とする適応免疫といった、重要な形態的、生理的新機軸が生じた。顎口類はその後、軟骨魚類と硬骨魚類という2つのグループに分岐した。本論文では、軟骨魚類の一種ゾウギンザメ(Callorhinchus milii)の全ゲノム解析の結果を報告する。ゾウギンザメのゲノムは、「生きた化石」と呼ばれるシーラカンスをも含めた既知のあらゆる脊椎動物の中で最も進化速度が遅く、四肢類のゲノムと幅広くシンテニーが保存されていることから、顎口類ゲノムの比較解析の良いモデルとなることが分かった。機能的研究によって、軟骨魚類には分泌性のカルシウム結合リン酸化タンパク質をコードする遺伝子が存在せず、それが内骨格に骨が存在しない理由であることが示唆された。また、軟骨魚類の適応免疫系は独特で、典型的なCD4補助受容体や、CD4系列に関係する転写因子の大半、またこの系列に関係するサイトカインおよびサイトカイン受容体が欠失している。ただし、多型的な主要組織適合遺伝子複合体クラスII分子は存在する。従って、軟骨魚類の適応免疫系は、適応免疫系の起源を解明するための新しいモデルとなる。

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