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進化遺伝学:ヒルガタワムシ類Adineta vagaでの非減数分裂的な進化を裏付ける、ゲノミクスから得られた証拠

Nature 500, 7463 doi: 10.1038/nature12326

有性生殖の喪失は後生動物の進化的行き止まりと考えられているが、ヒルガタワムシ類は数百万年にわたって無性的に存続してきたと見られており、有性生殖喪失に関するこうした見方に疑問を投げかけている。この微小な動物では雄性生殖器も減数分裂も観察されておらず、卵母細胞は有糸分裂によって形成され、その際、染色体数の減少も染色体対合の兆候も認められない。しかし、現在得られている証拠では、ヒルガタワムシ類がごくまれに未知の状況で有性生殖を行っている可能性を排除しきれない。本論文ではヒルガタワムシ類のAdineta vaga(Davis, 1873)のゲノムについて報告し、その構造が通常の減数分裂と相いれないことを明らかにする。遺伝子のスケールで見るとA. vagaのゲノムは四倍体であり、古い年代に重複した部分と、差異の少ない対立遺伝子領域の両方から構成されている。しかし、有性生殖を行う種とは対照的に、A. vagaのゲノムの対立遺伝子領域は再構成されており、同一染色体上に認められる場合すらある。こうした構造では減数分裂の対合は起こらない。その代わり、我々は遺伝子変換を裏付ける証拠を多数見いだした。これらの遺伝子変換は、減数分裂が行われない中で有害な変異が蓄積するのを制限している可能性がある。酸化への抵抗性、糖質代謝、およびトランスポゾンに対する防御に関与する遺伝子ファミリーが大規模に拡張されており、これによって、転移性遺伝因子が再構築ゲノム配列のわずか3%しか占めていない理由が説明できると考えられる。さらに、遺伝子の8%は後生動物以外の起源を持つと見られ、水平伝播で獲得された可能性が高い。ヒルガタワムシ類と原核生物とのこうした見かけ上の収斂は、性の進化的重要性に新たな光を当てるものである。

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