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遺伝:エミリアニア属(Emiliania)の植物プランクトンの世界的分布を支えるパンゲノム

Nature 499, 7457 doi: 10.1038/nature12221

円石藻は、2億年以上にわたって地球の気候に影響を与え続けてきた海洋植物プランクトンで、一部の生態系では全炭素固定量の20%が円石藻によるものである。円石藻のブルーム(大増殖)は数十万平方キロメートルにも達することがあり、また円石藻は炭酸カルシウムでできた精緻な外骨格(円石)が特徴的である。これらの特性のために、こうしたブルームは宇宙からも見ることができる。円石藻は炭素を有機物と方解石の形で海底へと輸送するが、石灰化の過程ではCO2を放出する。従って、炭素循環には複雑な影響を及ぼし、CO2生産を促進するか、あるいはCO2を取り込んで隔離し、深海へと輸送するかのどちらかである。本論文では、円石藻エミリアニア・ハクスレイ(Emiliania huxleyi)のCCMP1516株から得た、ハプト植物門として初めての参照ゲノム配列と、それ以外の13の単離株から得た塩基配列を報告する。解析の結果、パンゲノム(株間で共通するコア遺伝子群と株間での違いが大きい遺伝子群とを合わせたもの)の存在が明らかになり、これはおそらく反復配列の不規則な補充によって支えられていることが判明した。株間の比較により、これまで長い間単一の種と考えられてきたエミリアニア・ハクスレイには、ゲノムレベルで高い多様性があり、これがさまざまな代謝レパートリーに反映されていることが明らかになった。この種複合体におけるゲノムの多様性が、赤道から亜北極地域にまたがる幅広い海域で生息できる能力と、さまざまな環境条件のもとで大規模な一時的ブルームを引き起こす能力を支えているらしい。

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