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ゲノミクス:アフリカシーラカンスのゲノムは四肢類の進化を解明するための手がかりとなる

Nature 496, 7445 doi: 10.1038/nature12027

生きたシーラカンスの実物が1938年に発見されたことは大きな驚きであった。それは、肉鰭類に分類されるこの魚の系統が7000万年前にすでに絶滅したと考えられていたためである。現生シーラカンスは、外観がその祖先種の多くときわめてよく似ており、さらに、人類の祖先に当たる魚類と進化的に近いことから、最初に陸上を歩いた魚類の姿を想像する手がかりをもたらす。本論文では、アフリカシーラカンス(Latimeria chalumnae)のゲノム塩基配列について報告する。ゲノム規模のデータを用いた分子系統解析の結果、四肢類に最も近い現生近縁種がシーラカンスではなくハイギョであるという結論が得られた。さらに、シーラカンスのタンパク質をコードする遺伝子配列の変化は四肢類と比較してはるかに緩やかであったが、ゲノムの他の領域ではそのような傾向は特に見られなかった。脊椎動物の陸上生活への適応の際に起きた、遺伝子レパートリーあるいは遺伝子調節領域の変化を調べたところ、免疫、窒素排泄、ならびに鰭、尾、耳、眼、脳および嗅覚の発生に関与する遺伝子が浮かび上がった。鰭から肢への変化や胚体外組織の出現に関与するエンハンサーの機能分析から、このシーラカンスゲノムが、四肢類の進化を解明するための枠組みとして重要なことが明らかとなる。

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