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遺伝:ワタ属ゲノムで繰り返された倍数化と、紡績可能なワタ繊維の進化

Nature 492, 7429 doi: 10.1038/nature11798

倍数性は新たな特性をもたらす場合が多く、四倍体ワタの繊維生産性および繊維の質が、同じ環境条件に適合するように育種された二倍体ワタよりも高いのはその一例である。今回我々は、優良なワタ(Gossypium hirsutumおよびGossypium barbadense)では、約6000万年前に倍数性が突然5〜6倍に増大し、約100〜200万年前に発散的なワタ属ゲノム群が再統合されて異質倍数性となったことにより、祖先被子植物の遺伝子が約30〜36倍に重複していることを明らかにする。ゲノム塩基配列が解読されたほかの被子植物でこの遺伝的複雑性に匹敵するのは、アブラナ属のみである。異質倍数性が生じる以前の初期繊維の進化は、繊維の紡績が可能なGossypium herbaceumのAゲノムと紡績に適さないGossypium longicalyxのFゲノムを相互に比較し、また、紡績に適さないGossypium raimondiiの外群Dゲノムとの比較を行うことによって明らかになった。G. hirsutumの栽培品種AtDt(「t」は四倍体の意)のゲノム塩基配列から、サブゲノム間の非相互的なDNA交換が多数明らかになったが、これらは、表現型の革新や、倍数体による生態的適応など新しいほかの特性に寄与したと考えられる。G. hirsutumのDNAレベルの新奇性の多くは、新世界生息域に固有のDゲノム祖先に由来する対立遺伝子と、紡績可能な繊維が進化した旧世界のAゲノム祖先に由来する対立遺伝子が組み換えられたものである。核のミトコンドリアDNAブロックなど、機能の異なる遺伝子からなる複数の近接群に見られる協調的な発現変化は、ワタ繊維のさまざまな形質に影響を与える量的形質遺伝子座からなるクラスターを説明すると考えられる。二倍体祖先や外群と比較することで、ほかの倍数体、特に被子植物の倍数体の新しい特性を分析する機会が豊富に得られる。

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