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環境:フリッカー現象は湖沼の富栄養状態への臨界遷移の早期警告シグナルとなる

Nature 492, 7429 doi: 10.1038/nature11655

社会–生態系では、転換点もしくは臨界遷移を予測する必要があることが認められている。数理的および実験的な系の研究から、系が臨界遷移に先立って「ふらつく」場合があることが明らかにされている。このような早期の警告シグナルは、小規模の影響から系をゆっくりと回復させる臨界緩和現象、または比較的大規模な影響に対して系を二者択一的な状態の間で行き来させるフリッカー現象によって生じるのかもしれない。社会–生態系では、そうした遷移のシグナルはほとんど観測されたことがないが、その主な原因は、観測に普通は高分解能の時系列が必要とされるからである。今回我々は、湖沼の集水系から得られた実測データを数理モデルと組み合わせ、疎データからフリッカー現象を検出できることを示した。観測記録とモデル出力の両方で、富栄養的な湖沼条件への遷移の10〜30年前に、自己相関および歪度の低下と連動した変動増大が始まっていたことが明らかとなった。この知見は臨界緩和ではなくフリッカー現象の方に一致する。今回の結果は、フリッカー現象を誘発するような大規模な外的影響によって環境状況が十分な影響を受けた場合には、現代の社会–生態系における遷移を警告する早期シグナルが強くなる可能性があり、そのため従来考えられていたよりも検出が容易になることを示唆している。

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