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遺伝:イネゲノムの変異マップから栽培イネの起源が判明

Nature 490, 7421 doi: 10.1038/nature11532

作物の栽培化は長期にわたる選択の実験であり、これがヒトの文明を大きく進歩させてきた。栽培イネ(Oryza sativa L.)の栽培化は、歴史上最も重要な進歩の1つに位置付けられるが、その起源と栽培化の過程については意見が分かれており、長く論争が続いてきた。今回我々は、さまざまな地域から収集した野生イネ、ルフィポゴン(Oryza rufipogon、栽培イネを生み出した直接の祖先種)の446系統と、栽培イネであるインディカイネとジャポニカイネの1,083系統について、ゲノム塩基配列を解読し、イネゲノムの包括的な変異マップを作成した。選択の痕跡を探索して、栽培化の過程で選択的除去(selective sweep)が起こった55の領域を同定した。この選択的除去とゲノム全域の変異パターンを綿密に解析したところ、ジャポニカイネ(Oryza sativa japonica)は初め、中国南部の珠江中流領域周辺でルフィポゴンの1集団から栽培化されたことが判明した。またインディカイネ(Oryza sativa indica)は、最初に生まれた栽培イネがその後、東南アジアや南アジアに広がるにつれ、このジャポニカイネと現地の野生イネとの交配により生じたことも明らかになった。高精度の遺伝子マップ作成により、栽培化に関係する形質の解析も行った。この研究は、イネの育種のための重要な基盤となり、また作物の栽培化の研究に役立つ効果的なゲノミクス手法を示している。

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